その人らしく生き生きと過ごせる”やさしい時間”を大切に

理念

食事食欲は生きる意欲の証

お年寄りの方に「楽しみは何ですか?」と尋ねると、「食べること」と言われる人が多いようです。

人として生まれ最初に自立する生活行為が食事です。
また老化に伴い排泄や入浴などには介助を必要とするようになっても、最後まで自立しているのが食事です。
子どもが食物を親の手によって与えられる受身的な状態から、自分で食べるようになる時期は、心理的に自我が形成される時期にあたると言われます。つまり、食事は生命の維持に欠かせない行為というだけでなく、食事の自立性が、生きること、生活することの主体性を支えている、ということなのです。
 食べることを介助されるようになると、人としての主体性は根底から奪われていきます。
 他の行為をはじめすべてのことに受身的・依存的になるのは不思議なことではありません。

 「食べる=生きる」であり「食欲は生きる意欲」です。
お年寄りが「楽しみは食事」といわれるのは、少なくとも食べることを通して生きていることの実感が得られているからではないでしょうか。もし、食欲が低下している人を見かけたら、食べられないのではなく、食べないのではないか、と想像してみてください。
 食事介助の仕方や調理の工夫というだけではなく、どうすれば食事が自立し、生き生きとした生活を作っていくことができるのか、そのための工夫と条件づくりについて考えていきましょう。

ケアマネージャー

ケアマネージャー
齋藤ひろみ

入浴入浴は元気の素

 身体の清潔、血行促進、筋肉や関節の緊張緩和、ストレス解消などが入浴の効果と言われています。
入浴が痛みの軽減、床ずれ予防、便秘の解消、食欲の増進や安眠のために役立つことはよく知られています。
シャワー、清拭、部分浴によっても、ある程度の効果は得られると思いますが、湯船に浸かる満足感や爽快感には及びません。

 銭湯や温泉地での入浴を想像すると、スキンシップ、コミュニケーション、という人間関係を豊かにする目的もあることが分かってきます。
まさに”湯あみケーション”です。入浴は生活全体の満足度を高め、豊かさやゆとりを実感させてくれるものなのです。
 多くの”風呂好き”な日本人にとって、入浴は「手段」であり、「目的」であり、「文化」ではないでしょうか。
入浴するという生活行為から、ノーマライゼーションを!!